年始キャンプ

だんごまん(BETA)

2014年01月07日 20:07




1月2日。世間は正月まっただ中。箱根駅伝が始まるこの日、実家で年を越し、その後家族サービスをしたくてもサービスを受ける家族もパートナーもいないときたら、キャンプに行くしかない、と我ながら訳の分からない理論で初の年始キャンプを決行。

年末に暴飲暴食した為に、もう食べることは出来ない。そのために今回はダイエットキャンプとなる。食材も最低限。酒も無し。そうなると夜が長いことも想定されるので、本を2冊用意。スマホで映画という手もあるが、薪ストーブの横ではやはりアナログが似合う。と、ちょっと妄想に酔いながら出発。場所は道志の某無料キャンプ場。ここは年末年始に多くのキャンパーで賑わうと聞いている。

午後出発でも十分な近さなのでトコトコ下道で行く。冬に下道はいい。高速のように寒くない。普段イライラする渋滞も冬は苦にならない。途中橋本駅のホームセンターで薪の調達を試みたが、炭しかなかったため、試しに炭5kg購入。この選択がこの後命に関わることになるとは、この時は知る由もなかった。
キャンプ場につくと、1月2日とは思えない盛況ぶり。入り口からは絶え間なくテントが並んでいるため、設営場所を探して奥へと進むと、その先に人だかりで出来ており、こちらに向かって手を振ってくれている。以前グルキャンでお世話になった方々だった。後から聞いたことだが、私の外見があまりにも昔よりも変わっているらしく、通常は気がつかないのだが、私が乗っているバイクが特徴的かつレアなため、それで「だんごまん」と気がついてくれたとのこと。ナイス、Transalp。これからも乗り続けるぜ。



とりあえずテントを設営。そして一番の難作業、快速旅団のベアコットの組み立て。まだ2回目なので固くてコットの脚が全然ハマらない。「ふもとっぱら」の時は30分近くかかったこの作業。今回も時間がかかりそうな予感。作業に集中していると、後ろから優しきGS乗りキャンパー”たむさん”が

「お、大丈夫?最初は固いんだよね。やってあげるよ」(たむさん)

と声かけてくださった。いやいや。この私の鍛えぬかれた肉体から繰り出す、力の限りを尽くした組立作業でもハマらない脚だ。そんな簡単にいくわけがない。

「俺はこうやるの。こうやってね・・・」(たむさん)

(おおおー!)
私が全然出来ない脚入れをスルスルっと30秒ほどで完成。マジか。先輩すごい。世の中力だけじゃ解決出来ないことが多々あるのだ。

夕方。寒くなってきたので薪ストーブに炭を入れてみるが、全然火が付かない。持ってきた着火剤も底を付いてやっと火が着くが、なんせ炭なため燃え上がらないので、熱量が絶対的に少ない。寒いのでどんどん炭を投下する。まさかこの作業が後々命に関わることになるとは知らずに。




「フライングタイガー」で購入したお洒落キャンドルランタンを灯し、準備完了。さあ、ダイエット飯でも作るか。と思った矢先。

「だんごまんさん、乾杯するんで良かったら」

”みづき”さんが声をかけてくださった。今回はダイエットキャンプ。酒は飲めない。しかし、誘われたら断らない主義の私。久しぶりな方々への挨拶もあるし、顔出しくらいは当然だよね、とイソイソ宴会場へ。まだ始まっていない。断酒の誓いを脳内で繰り返しながら座っていると、外から「これ、新酒のどぶろくなんだけど飲みます?発泡性で美味しいんですよ~!」と声が聞こえる。皆さん、続々と味見をしている様子。
(ふ、私は興味ない。なぜならダイエット中だからだ)
と椅子に座っていた。ただ、一応ここは屋外なので何かあったらマズいと思い、警戒のために周辺の音にだけは耳をそばだてていた。
「これ、なかなか手に入らない新酒なんだよ~」
「あ!ください!少しだけ・・・」(だんごまん)
いただいてしまった。わかっていたが、かなり美味かった。
自分の意思の弱さを反省しながら宴会場へ戻ると”みづき”さんが
「私もにごり酒用意しているよ。飲めないの~?」
「じゃ、それも味見だけ」(だんごまん)
ダメな子です。しかし、ここで最後の意思表示を試みる。
「いや~、今日はダイエットキャンプの予定だから酒も食べ物も用意してないんですよ~」(だんごまん)
「ほぅ、なるほど。じゃ、1本どう?」(隣に座っている”tta”さん)
「そ、それは第3のビールしか飲めない人には幻と言われるエビスビール!謹んで頂きます。」(だんごまん)
もう、完全に飲んでる。やばい。
(ダイエットの神様、今日は許してください)
と許すも何も全部自身に返ってくるだけなのだが、そんな言い訳をちょっとだけ心の中でしながらガンガン飲む。というより、ごちそうになる。エビス様の笑顔がいつもよりも笑っているように見えた。
皆さん、お恵みありがとうございました。特に”tta”さん、すいません。でもとても楽しかったっす。




夜は更けていてき、記憶が曖昧なまま数枚の薪をゲットしてテントへ。そして寒いので薪ストーブにまた炭を投入してそのまま就寝。

その後・・・。

息苦しさで目が覚めると、幕内が煙で充満!痛くて目が開けられず、息も出来ない。コットから這いずり出て、テント下の隙間から顔だけ出し、息を吸う。そして再度テント内に戻って涙溢れる目を凝らして見ると、薪ストーブ外に積んであった炭に火が着火してくすぶって燃えており、それが床の乾燥した草にも引火してすごいことになっていたのだ。コット上方は刺激のある煙が充満しており、体が起こせない。急いで火を消したいのだが、まだ酔っ払って寝ぼけている中、寝転がりながらの消火作業は全然進まない。また、煙で息が出来ないので何度もテント下の隙間から顔だけ出して息を吸う必要もあり、段々自分が何をやっているかわからなくなる。この作業は永遠続くの?もしかしたら夢?と朦朧としてきた所で火が粗方消え、同時に私も再び眠りについた。




翌朝になって検証してみたのだが、薪ストーブに炭を大量投入したことによって、寝てる間に火鉢の砂のようになった炭が入り口から流れ出て、中の炭が再度酸素に触れて燃えることによって、引火したと思われた。運が良かったのが、購入した薪を入れていたダンボールが燃やすとひどい刺激のある煙を出すこと。このおかげで目が覚めることが出来たのだ。もし、ダンボールに引火していなかったらそれこそ、初の新春キャンプが最後のキャンプになるかもしれなかったわけで、コットに横たわって冷たくなっている自分を想像するとブルっと身震いがした。特に現世に未練があるわけではないのだが、いきなりは困る。ニュースになるだろうか。テント内での薪ストーブがネットで叩かれたらどうしよう。なにより、「通称、”だんごまん”ってなんだよ!」って言われたらどうしよう!などと呆然としていると外で声が聞こえた。Takaさんやイケメン”なべさん”が何やら薪を燃やしている。はっと現実に戻り、テントから出て二人の元へ行く。とにかく、怖い妄想を早く打ち消したかった。

二人に深夜の引火について話すと
「あ~、それは絶対自殺扱いだね。」と二人共笑顔。
あ、そ、そう。そうなると、取材とか来るのでは?と尋ねたら
「そういえば、昨晩は思いつめた顔をしていた、て答えるよ」
「なんか、人生に疲れたと言っていたんです、と答えるよ」と二人共笑顔。
事件にならないで本当に良かった。二人の屈託の無い笑顔を見ながら感じた寒気は朝の気温のせいだと思いたい。

今回の事件2。



自家製煙突ポートが焼け落ちてしまった。難燃シートはあくまでも燃であって、燃えないわけではなかったのだ。前回頑張ってくれた分、今回は燃えやすくなっていた、ということなのだろう。次回までの宿題。



バイクは白かったけど温度計が無いから気温わからず。



昨夜急遽できた宴会場。入り口が寒かったのでブルーシートで蓋。





気を取り直して朝ごはんを作る。あれだけ怖い思いをしたのに、普通に薪ストーブを使ってミニパンとキノコソテー。
そして、定番になりつつある・・・。



自家製プロテインケーキ!



燃え上がる薪。一応中に焚き火台あり。



奥の東屋はすっぽりシートにくるまれてちょっとした家状態。年越しキャンプをして連泊している方々がキャンプ場の許可を取ってやっている、とのこと。キャンプにはいろいろなスタイルがあるが、これを見てしまうと世界は広いなぁ、とあらためて感じる。中にいる人を見たら、くまモンのもんぺを履いた道志の重鎮だった。負けず嫌いの私は次回ふなっしーで対抗しようと思う。

撤収作業はゆっくり行う。ただ、今回も問題なのはコット。はめるのに難儀した脚はフルパワーで外すことが出来たが、それ以降の解体が全然出来ない。今回も時間がかかりそうな予感。作業に集中していると、後ろから優しきダカール乗りキャンパーTakaさんが

「お、大丈夫?最初は固いんだよね。やってあげるよ」(Takaさん)

と声かけてくださった。いやいや。この私の鍛えぬかれた肉体から繰り出す、力の限りを尽くした解体作業でも外れないフレーム。そんな簡単にいくわけがない。

「こうやってね、クイッと・・・」(Takaさん)

(おおおー!)
私が全然出来なかったフレーム外しをクイッと2秒ほどで外す。マジか。先輩すごい。世の中力だけじゃ解決出来ないことが多々あるのだ。あれ?デジャブ?

そんなわけでダラダラ11時半に出発して帰宅となった。


今回は多くの方々の優しさに助けられたキャンプだった。新春早々問題児っぷりを発揮してしまったが、絶対にテント内で事故だけは起こさないようにしよう、と固く誓ったのであった。

あと、お酒はほどほどに。
(と思うが、これもやめられない・・・)


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